【獣医師が解説】犬のしこりは病気?良性・悪性の見分け方と受診の目安|さいたま市のパスカル動物病院

【獣医師が解説】犬のしこりは病気?良性・悪性の見分け方と受診の目安|さいたま市のパスカル動物病院

埼玉県さいたま市大宮区、北区、見沼区、中央区、浦和区、西区の皆様こんにちは。
さいたま市大宮区のパスカル動物病院です。

「撫でていたら、体にしこりのようなものが…」
「腫瘍かもしれない?様子を見て大丈夫?」

犬の体にできた“しこり”は、良性の脂肪のかたまりのこともあれば、悪性腫瘍のこともあります。
見た目や大きさだけで判断するのは難しく、早めの診断がとても大切です。

今回は、犬のしこりの特徴や原因、動物病院に行くべき目安、検査・治療法について、獣医師がわかりやすく解説します。

症状|犬のしこりに気づくきっかけ

しこりは以下のような場所・形で見つかることが多いです。

  • 首、背中、お腹、足の付け根、乳腺部などに丸いふくらみがある

  • 触るとやわらかい/硬い/動く/動かないなど様々

  • 皮膚の表面または皮下にできることも

  • 痛がる様子はないことが多いが、大きくなる/出血する/潰れることもある

見た目だけでは「良性 or 悪性」の判断はできません。

原因|犬のしこりに考えられる主な病気

1. 脂肪腫(良性)

やわらかく、皮膚の下でぷにぷにと動くようなしこり
痛みもなく、経過観察だけでよい場合が多いです。

2. 乳腺腫瘍(良性・悪性あり)

特に避妊していないメス犬に多く、乳腺部にしこりができます。
約50%が悪性とされており、早期の診断・処置が重要です。

3. 皮膚組織球腫(若い犬に多い)

皮膚表面に赤くてドーム状に盛り上がる小さなしこり
自然に消えることもありますが、見極めが必要です。

4. 悪性腫瘍(がん)

軟部組織肉腫、肥満細胞腫、扁平上皮がんなど、見た目が普通でも悪性の可能性があるしこりもあります。
放置して大きくなったり転移するリスクも。

5. 炎症性しこり・膿瘍

傷や感染によるもので、赤く腫れたり、押すと痛がることがあります。

動物病院に行くべき目安

次のようなしこりがある場合は、できるだけ早く受診しましょう。

  • 急に大きくなった

  • 硬い、表面が凸凹している、皮膚と癒着している

  • 2cm以上ある(目安)

  • 出血・かゆみ・膿・変色がある

  • 元気や食欲が落ちている

  • 同じ場所に何度もできる

※早期であれば負担の少ない処置・治療で済むことも多いです。

検査と治療方法|犬のしこりはどう診断・治療する?

■ 検査

パスカル動物病院では、しこりの診断に以下の検査を行います。

  • 視診・触診による性状確認

  • 細胞診(針で細胞を採取して顕微鏡で診断)

  • 必要に応じてX線、エコー、血液検査、病理検査など

※痛みの少ない針吸引検査で、その場で大まかな判断が可能です。

■ 治療

  • 良性腫瘍や炎症性しこり:経過観察または外科的切除

  • 悪性腫瘍:外科切除+必要に応じて抗がん剤・放射線治療(二次診療施設と連携)

  • 再発防止のための定期検診や生活管理も大切です

パスカル動物病院の対応

当院では、犬のしこりについて以下のような対応を行っています。

  • しこりの場所・大きさ・質感・経過を丁寧に確認

  • 必要最小限の検査で、飼い主様の不安に寄り添った診断と説明

  • 手術や通院が必要な場合も、生活環境や性格に配慮した治療計画をご提案

  • 良性・悪性を問わず、経過観察のポイントも丁寧にご案内

Q&A

  1. しこりが小さければ様子を見てもいい?
    →小さくても悪性の場合は早く対処するほど予後が良いです。一度獣医師に診せることをおすすめします。
  2. 複数のしこりがあります。がんなのでしょうか?
    →**良性でも多発するタイプの腫瘍(脂肪腫や皮膚組織球腫)もあります。**検査での確認が大切です。
  3. 手術をするべきか悩んでいます。
    →年齢や持病も考慮した上で、手術の必要性・リスク・代替方法を一緒に考えましょう。無理に勧めることはありませんのでご安心ください。

まとめ|犬のしこりは「見えないサイン」。早めの診断で安心を

犬のしこりは、見た目では判断できない病気の入り口であることもあります。
「様子を見よう…」と先延ばしにせず、早めの診断・適切な対応で、わんちゃんの健康と安心を守りましょう。

パスカル動物病院では、不安なお気持ちに寄り添いながら、根拠ある診療と丁寧な説明を心がけています。
気になるしこりがある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。