【獣医師が解説】犬のてんかんとは?発作の対処と治療・予後について|さいたま市のパスカル動物病院
【獣医師が解説】犬のてんかんとは?発作の対処と治療・予後について|さいたま市のパスカル動物病院
埼玉県さいたま市大宮区、北区、見沼区、中央区、浦和区、西区の皆様こんにちは。
さいたま市大宮区のパスカル動物病院です。
「急に体を突っ張らせて倒れた」
「口から泡を吹いて、震えていた」
そんな様子を目の当たりにして、驚かれた飼い主様も多いかもしれません。
犬にも人と同じように「てんかん」という脳の異常興奮による発作が起きることがあります。
今回は、犬のてんかんについて、原因・症状・治療・自宅での対応法をわかりやすく解説いたします。
症状|犬のてんかん発作とは?
てんかん発作は、脳内の神経活動が一時的に異常になることで起こります。代表的な症状は以下の通りです。
- 意識を失って倒れる
- 全身をガクガクと痙攣させる
- 泡を吹く、よだれを大量に垂らす
- 筋肉が突っ張る、手足をばたつかせる
- 一時的に失禁・脱糞する
- 数秒〜数分で自然におさまるが、繰り返す
また、発作の前兆として「そわそわする」「目がうつろ」「甘える」「隠れる」などの行動がみられることもあります。
原因|犬のてんかんには2種類ある
■ 特発性てんかん(原発性てんかん)
- 原因が特定できない脳の機能的な異常
- 若い年齢(1〜5歳)で発症することが多い
- 遺伝的要因が関与していると考えられます
- 多くは繰り返し発作を起こす慢性的な病気
■ 症候性てんかん(二次性てんかん)
- 脳腫瘍、炎症、外傷、代謝異常など明らかな病気が原因
- 中高齢犬に多い
- 原因疾患を治療することで改善が期待できる場合もあります
動物病院に行くべき目安
以下のような場合は、すぐにご相談ください。
- 初めて発作が起きたとき
- 1日に複数回発作が起きている
- 発作が5分以上続いて止まらない
- 発作が頻繁に起こり、意識が戻らない
- 高齢で発作を起こした場合(脳腫瘍などのリスク)
- 初診であっても動画を撮って見せていただけると診断の助けになります
治療方法|犬のてんかんと上手に付き合うために
■ 特発性てんかんの場合
- **抗てんかん薬(フェノバルビタール、イメピトインなど)**を継続的に服用
- 発作の回数を減らし、発作の重症化や発作群発を防ぐことが目的
- 血中濃度のモニタリングや副作用の確認も定期的に行います
■ 症候性てんかんの場合
- 脳の病気(腫瘍・炎症など)や代謝性疾患の精密検査
- 原因に応じた治療(例:ステロイド、手術、内科的管理など)
- 抗てんかん薬と併用することもあります
パスカル動物病院の治療方針
当院では、てんかんの診断と治療について、以下のように丁寧な対応を行っています。
- 発作の頻度や状況をヒアリングし、必要に応じて血液検査・画像検査(CT/MRI連携)を実施
- 発作の記録や動画を参考に的確な診断を行います
- 薬物治療は副作用と効果を見ながら最適な投薬量を調整
- ご家族の不安に寄り添いながら、日常生活での注意点や緊急時の対応方法も丁寧に説明いたします
ご自宅での対処法
- 発作が起きたら無理に動かさず、そっと見守る
- けがを防ぐため、まわりの物をどかす
- 口に手を入れない(咬まれる危険あり)
- 発作の時間や状況を記録し、動画を撮っておく
- 5分以上続く発作や、1日に何度も繰り返す場合はすぐ病院へ
予防方法はあるの?
てんかん自体を完全に防ぐ方法はありませんが、
- ストレスを減らす生活環境づくり
- 規則正しい生活・食事・睡眠リズムの維持
- 持病(糖尿病・腎不全など)管理の徹底
- 高齢犬では定期的な健康診断・神経チェックなどが、早期発見・進行予防につながります
Q&A
- 発作が1回だけでも病院に行くべき?
→**初めての発作は必ず受診を。**他の病気が原因のこともあるため、正しい診断が大切です。 - 抗てんかん薬は一度始めたら一生飲み続けるの?
→原則として**長期的な服用が必要です。**発作の頻度や症状によって調整を検討することもあります。 - 犬がてんかんでも普通に暮らせますか?
→はい、多くの犬が**適切な治療と管理で日常生活を送れています。**不安なことはご相談ください。
まとめ|犬のてんかんは、正しく向き合えば穏やかに過ごせる病気です
突然の発作に驚かれるかもしれませんが、てんかんはコントロールできる病気です。
早期の診断と適切な治療、そしてご家庭での落ち着いた対応が、愛犬の生活を守ります。
パスカル動物病院では、発作の原因究明から、治療、日常のケアまでトータルでサポートしています。
「これって発作?」「薬を飲ませるのが心配…」といった小さな不安でも構いませんので、どうぞお気軽にご相談ください。