【獣医師が解説】犬の乳腺腫瘍について|パスカル動物病院
【獣医師が解説】犬の乳腺腫瘍について|パスカル動物病院
埼玉県さいたま市大宮区、北区、見沼区、中央区、浦和区、西区の皆様こんにちは。
さいたま市大宮区のパスカル動物病院です。
犬の腫瘍の中でも特に多いのが乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)です。
メス犬では全体の腫瘍の約半数を占めるほど多く、放置すると悪性化して転移することもあります。
今回は「犬 乳腺腫瘍」について、症状・原因・治療法・予防法までを獣医師が詳しく解説いたします。
犬の乳腺腫瘍とは?
乳腺腫瘍とは、乳腺にできるしこり(腫瘍)のことです。
良性と悪性の両方があり、約半数が悪性(がん)といわれています。
乳腺は左右に5対ずつ(計10個)あり、複数の場所に同時発生することも珍しくありません。
主な症状
- 乳腺部分にしこりができる
- しこりが硬く、大きくなる
- 出血や膿が出る
- しこりの周囲の皮膚がただれる
- 進行すると元気・食欲の低下
痛みがないことが多く、「気づいたら大きくなっていた」というケースが多く見られます。
犬の乳腺腫瘍の原因
- 発情ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の影響
- 避妊手術をしていない、または実施が遅かった
- 遺伝的要因
- 高齢(特に7歳以上で多発)
若いうちの避妊手術により、乳腺腫瘍の発生リスクを大幅に下げることができます。
動物病院に行くべき目安
- 乳腺付近にしこりを見つけた
- しこりが急に大きくなった
- 乳頭から分泌物や血が出ている
- 複数のしこりがある
これらの症状が見られた場合は、早めに動物病院で検査を受けてください。
犬の乳腺腫瘍の検査
- 触診:しこりの位置・大きさ・硬さを確認
- レントゲン・超音波検査:肺や他臓器への転移を確認
- 細胞診・病理検査:腫瘍が良性か悪性かを確定診断
犬の乳腺腫瘍の治療法
- 外科手術(腫瘍切除):最も有効な治療法。腫瘍の大きさや位置に応じて片側または両側の乳腺を摘出します。
- 避妊手術の併用:再発防止のため、同時に卵巣・子宮を摘出することが推奨されます。
- 抗がん剤治療:悪性で転移リスクがある場合に併用します。
パスカル動物病院での治療
当院では、しこりを発見した際には細胞検査や画像検査による正確な診断を行い、
腫瘍の性質・進行度に応じた外科手術を実施しています。
また、術後の再発防止や生活の質(QOL)を維持するために、定期検診とご家庭でのケア指導も行っています。
ご自宅での観察ポイント
- スキンシップの中で乳腺を触る習慣をつける
- しこりの大きさや形の変化を記録
- 手術後は傷口を舐めないようエリザベスカラーを着用
- 食欲・元気の変化にも注意
犬の乳腺腫瘍予防
- 初回発情前(生後6〜10か月)までの避妊手術が最も効果的
→ 発生率を0.5%以下に抑えられるといわれています。 - 定期的な健康診断・触診
- 肥満予防(脂肪組織がホルモンに影響を与えるため)
よくある質問
Q. しこりが小さい場合は様子を見ても大丈夫?
A. 小さくても悪性の可能性があります。必ず検査を受けてください。
Q. 手術すれば再発しませんか?
A. 完全切除できた場合でも、別の乳腺に再発することがあります。定期的な検診が重要です。
Q. 避妊手術は何歳までできますか?
A. 体調に問題がなければ高齢でも可能です。ご相談ください。
まとめ
犬の乳腺腫瘍は、早期発見と外科治療で予後が大きく変わる病気です。
「しこりを見つけた」「乳頭から分泌物が出ている」など気になる症状がある場合は、早めにパスカル動物病院へご相談ください。
また、若いうちの避妊手術が最も確実な予防法です。
パスカル動物病院|埼玉県さいたま市大宮区
犬・猫・うさぎなどの小動物に対応。地域の皆さまの大切なご家族の健康を守るため、丁寧な診察とわかりやすい説明を心がけています。



