【獣医師が解説】犬のクッシング症候群について|さいたま市大宮区のパスカル動物病院

【獣医師が解説】犬のクッシング症候群について|パスカル動物病院

埼玉県さいたま市大宮区、北区、見沼区、中央区、浦和区、西区の皆様こんにちは。
さいたま市大宮区のパスカル動物病院です。

犬の内分泌疾患の中で比較的多いのが「クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)」です。
中高齢の犬に多く見られ、進行すると全身にさまざまな影響を与えます。
今回は「犬 クッシング症候群」について、症状・原因・治療法・予防について獣医師が詳しく解説いたします。


犬のクッシング症候群とは?

クッシング症候群とは、副腎から分泌されるコルチゾール(副腎皮質ホルモン)が過剰に分泌されることで起こる病気です。
ホルモンのバランスが崩れるため、代謝や免疫など全身に影響を及ぼします。


主な症状

  • 水を大量に飲む(多飲)
  • 尿の量が増える(多尿)
  • 食欲が異常に増す
  • お腹が膨らむ(ポッコリお腹)
  • 毛が薄くなる、脱毛
  • 皮膚が薄くなり、感染しやすい
  • 元気がなくなる

進行すると糖尿病や膵炎などの合併症を起こすこともあります。


犬のクッシング症候群の原因

大きく3つに分けられます。

  • 下垂体性クッシング症候群(最も多い)
     脳の下垂体に腫瘍ができ、ACTHというホルモンが過剰に分泌され、副腎を刺激する。
  • 副腎性クッシング症候群
     副腎そのものに腫瘍ができ、コルチゾールを過剰に分泌する。
  • 医原性クッシング症候群
     ステロイド薬を長期間使用したことで発症する。

動物病院に行くべき目安

  • 水を大量に飲んでいる
  • 尿の量や回数が増えた
  • お腹が膨れている
  • 毛が薄くなってきた
  • 皮膚が弱くなって感染を繰り返す

こうした症状がある場合は、早めの受診でホルモン検査を受けることが重要です。


犬のクッシング症候群の治療法

  • 内科治療
    • コルチゾール分泌を抑える薬(トリロスタンなど)の投与
    • 生涯にわたる継続的な内服治療が必要
  • 外科治療
    • 副腎腫瘍が原因の場合、腫瘍摘出手術を行うこともある
  • 支持療法
    • 食事管理や合併症の治療

パスカル動物病院での治療

当院では、血液検査・ホルモン検査・超音波検査を組み合わせて診断を行い、
内服薬によるホルモンコントロールを中心に治療します。
また、薬の効果や副作用を確認するために定期的な血液検査を行い、安心して治療を継続できるようサポートいたします。


ご自宅での対処法

  • 薬は獣医師の指示通りに正しく投与する
  • 水の量や排尿量の変化を観察する
  • 食欲や元気の有無、毛の状態を記録しておく
  • 定期検診を欠かさない

犬のクッシング症候群予防

明確な予防法はありませんが、次の点に注意しましょう。

  • 中高齢犬は定期的な健康診断を受ける
  • 不必要なステロイド薬の長期使用を避ける
  • 異常な多飲多尿や体型変化に早く気づく

よくある質問

Q. クッシング症候群は治りますか?

→ 下垂体性は完治が難しく、生涯にわたる治療が必要です。副腎腫瘍が原因の場合は手術で改善することもあります。

Q. 寿命は短くなりますか?

→ 適切な治療と管理を行えば、通常の寿命を全うできることも多いです。

Q. 薬の副作用はありますか?

→ 嘔吐や下痢、元気消失などが出ることがあります。異常が見られたらすぐに受診してください。


まとめ

犬のクッシング症候群は中高齢犬に多い病気で、早期発見と継続的な管理が重要です。
「水をよく飲む」「お腹が膨れてきた」「毛が薄くなった」と感じたら、
早めにパスカル動物病院にご相談ください。