【獣医師が解説】犬のメラノーマ(悪性黒色腫)について|パスカル動物病院

【獣医師が解説】犬のメラノーマ(悪性黒色腫)について|パスカル動物病院

埼玉県さいたま市大宮区、北区、見沼区、中央区、浦和区、西区の皆様こんにちは。
さいたま市大宮区のパスカル動物病院です。
犬の皮膚や口の中にできる腫瘍の中で、特に注意が必要なのがメラノーマ(悪性黒色腫)です。進行が早く転移しやすいため、早期発見と迅速な治療が非常に重要です。
今回は「犬 メラノーマ」について、症状・原因・治療法・予防まで詳しく解説いたします。



犬のメラノーマとは?

メラノーマとは、メラニン色素を作る細胞(メラノサイト)が腫瘍化した病気で、皮膚や口腔、指、眼などに発生します。
良性のものもありますが、多くは悪性(がん)で、肺やリンパ節への転移が見られることが多いのが特徴です。

主な発生部位

  • 口の中(口腔内メラノーマ):最も悪性度が高く、転移しやすい
  • 皮膚:黒いできものとして見つかることが多い
  • 指・爪の根元:爪の変形や痛みにより歩き方が変わる
  • 眼球・その周辺:黒いシミのように見えることもある

主な症状

  • 口の中や皮膚に黒いしこりがある
  • 出血・潰瘍・口臭
  • 食べづらそうにする、よだれが増える
  • 顔や頬の腫れ
  • 体重減少・元気消失
  • 指にできた場合はびっこを引く

初期は無症状のことも多く、「黒いできもの」として見つかるケースが多いため、早めの受診が大切です。

犬のメラノーマの原因

  • 遺伝的素因
  • 高齢(シニア犬に多い)
  • 慢性的な炎症や刺激
  • 紫外線の影響(皮膚型)
  • 口腔衛生の悪化(口腔型)

特に口腔内・指先のメラノーマは、早期発見が難しい部位に発生しやすいため注意が必要です。

動物病院に行くべき目安

  • 黒いできものが大きくなっている
  • 出血・潰瘍を伴う
  • 食欲低下・口臭が強い
  • 指先にしこり・痛みがある

上記の症状が見られた場合は、できるだけ早く受診し、細胞検査(針吸引)や生検による診断を受けましょう。

犬のメラノーマの治療法

  • 外科手術:最も基本的な治療法で、可能な限り広範囲に切除。
  • 放射線治療:手術後の再発抑制や切除困難な場合に使用。
  • 抗がん剤治療:進行抑制を目的に併用することがあります。
  • 免疫療法(メラノーマワクチン):一部の症例で延命や再発防止の報告があります。

パスカル動物病院での治療

当院では、腫瘍の発生部位や進行度に応じて、外科切除・画像検査・病理診断を行い、最適な治療法を提案いたします。
必要に応じて、腫瘍専門医や高度医療センターと連携し、飼い主様とご相談の上で治療方針を決定します。

ご自宅での観察ポイント

  • 黒いしこりの大きさ・形・色の変化を記録する
  • 出血・臭い・潰瘍の有無を確認
  • 食欲・体重の変化をチェック
  • できものを押したり削ったりしない

犬のメラノーマ予防

明確な予防法はありませんが、早期発見が何よりも大切です。

  • 定期的な健康診断・口腔内チェック
  • シニア期は半年に1回以上の身体検査
  • 口臭や黒いしこりを放置しない
  • 屋外活動の多い犬では紫外線対策も有効

よくある質問

Q. メラノーマは必ず悪性ですか?
A. 良性の場合もありますが、見た目では判断できません。必ず検査が必要です。

Q. 早期発見すれば治りますか?
A. 早期に完全切除できれば予後良好ですが、転移後は治療が難しくなります。

Q. メラノーマワクチンはどの犬にも使えますか?
A. 腫瘍のタイプや全身状態により適応が異なります。獣医師にご相談ください。

まとめ

犬のメラノーマは進行が早く転移しやすい悪性腫瘍です。
「黒いできもの」「口臭が強い」「口の中にしこりがある」などの症状に気づいたら、早期受診が大切です。
パスカル動物病院では、腫瘍の正確な診断と治療プランのご提案を行っております。お気軽にご相談ください。

パスカル動物病院|埼玉県さいたま市大宮区

犬・猫・うさぎなどの小動物に対応。地域の皆さまの大切なご家族の健康を守るため、丁寧な診察と安心できる医療を提供しています。