歯科・口腔
こんな症状はありませんか
- 涎が多い
- 口が臭い
- 歯が汚い
- 歯茎が赤い
- 歯がぐらついている
上記の症状に心当たりがある場合は、愛犬・愛猫が口腔疾患にかかっている可能性があります。
口腔内の病気について
歯周病
犬猫の歯周病は、歯垢中の歯周病関連細菌に対して宿主の炎症反応の結果引き起こされます。
歯周病は歯肉のほかに歯根膜、セメント質および歯槽骨の歯周組織まで炎症が波及することが多い疾患です。
歯肉炎と歯周炎を総称して歯周病と言います。
1.疫学的特徴
飼育動物では犬や猫に歯周病が多いことが知られており、3歳以上の犬猫の70%以上にみられるとの報告もあります。さらに高齢になるに従い、その罹患率は高くなります。原因として、食事内容やストレスとの関係、寿命が延びたことなどが挙げられます。小型種は大型種より顎の大きさに比較して歯の大きさが相対的に大きいことが関係しており、通常小型犬は大型犬より罹患率が高くて進行しやすことが知られています。
2.発生と進行
犬猫の口腔内はアルカリ性であるため、歯垢から歯石に変化する日数が早く、3~5日と言われています。歯周病の進行の背景には歯肉炎を悪化させる不正咬合、対合歯の喪失、歯肉退縮、歯列異常、食物の圧入、歯の形態異常などが関連していると言われています。
歯周炎が進行すると、顎骨を破壊し、歯瘻や口鼻瘻管、骨折を起こすこともあります。
口腔疾患の治療の特徴
①軽度歯肉炎の場合
抗生剤や消炎鎮痛剤を服用し、炎症反応を鎮めます。
②中度歯肉炎の場合
麻酔下で歯周ポケット内の歯石を除去します。その後、①と同様に抗生剤や消炎鎮痛剤を服用し、炎症反応を鎮めます。
③重度歯肉炎の場合
②の治療に加えて動揺歯は抜歯します。抜歯する部位によっては歯肉の縫合が必要になります。
④歯ブラシ、歯科衛生用ガム
歯ブラシを使って物理的に歯垢を除去します。
毎日行うことが重要です。動物用歯ブラシや歯磨きペーストを使用することで犬猫も歯磨きを受け入れやすくなるでしょう。
歯科衛生用ガムも咬むことによって唾液の分泌が促され、口腔内の自浄作用が期待できます。
当院の治療の流れ
診療の流れ
当院では、処置前にしっかりと問診と身体検査を行い、飼い主様の不安と疑問を解消してから処置を実施しております。 少しでも不安や疑問がある場合は何でもおっしゃってください。
1.診察
しっかり一般身体検査を実施し、口腔の状態を把握します。
犬猫に歯科処置を行うには多くの場合全身麻酔が必要ですので、歯科処置が必要であると判断された場合は、術前検査を実施します。
2.術前検査
術前検査には血液検査、レントゲン検査などがあります。
この検査で基礎疾患が見つかった場合は、そちらの治療を優先とします。基礎疾患がなく、全身麻酔のリスクが低いと判断された場合は、全身麻酔での歯科処置を実施します。
3.歯科処置
全身麻酔をかけることで、犬猫の不安や恐怖、痛みを取り除くことができます。全身麻酔で歯垢と歯石を除去し、歯の表面を平滑にして歯垢の再付着を予防します。また、ぐらついている歯は抜歯することもあります。
4.ホームケア
きれいになった歯の健康を保つために...
退院時、ホームケアについて説明させていただきます。歯磨きは歯垢を除去する最も簡単で効果的な方法ですが、なかなか受け入れてくれる犬猫ばかりではありません。その子に合った方法でホームケアを継続することが大切です。ホームケアの成果を一緒に確認する為、ぜひ定期検診を受けましょう。