犬の皮膚が赤いときに考えられる病気と原因について
皆様、こんにちは。
さいたま市大宮区のパスカル動物病院です。
犬の身体は被毛をまとっており、外からの刺激を受けにくくなっていますが、皮膚に関しては人間よりも敏感でさまざまなトラブルに見舞われやすいです。おそらく、皆さんのご家庭でもワンちゃんの皮膚が赤くなることがあることでしょう。今回はそんな犬の皮膚が赤い時に考えられる病気と原因について詳しく解説します。
▼換毛期の肌トラブル
一定の周期で訪れる換毛期では、肌のトラブルが起こりやすいです。
毛が正常に生え変わらずに残ってしまうと、毛玉が形成されて細菌の温床となります。換毛期にワンちゃんが身体をしきりに掻いたり、噛んだりしている場合は要注意です。
▼細菌・真菌の繁殖
◎膿皮症
換毛期ではなくても細菌や真菌が犬の身体で異常繁殖することがあります。それは犬の皮膚のバリア機能が弱まったときです。
私たち人間も免疫力が低下すると、常在菌に感染することがありますよね。それと同じようなことがワンちゃんの皮膚でも起こります。
具体的には、犬の皮膚表面に生息している黄色ブドウ球菌などが繁殖して皮膚に赤みを引き起こし、膿が排出される膿皮症（のうひしょう）を発症します。
◎マラセチア皮膚炎
ワンちゃんの指の間や脇の下、股などに赤みが認められる場合は、マラセチアという真菌の繁殖が疑われます。
こうした部位は皮脂成分の分泌が過剰になりやすく、カビの一種である真菌が大好きな環境でもあるのです。
専門的にはマラセチア皮膚炎と呼ばれるもので、皮膚のベタつきやフケ、脱毛などの症状も認められます。また、ワンちゃんがしきりにかゆみを訴えるのもこの病気の特徴といえます。
◎皮膚糸状菌症
糸状菌も真菌の一種であり、ワンちゃんの皮膚に常在していますが、何らかの理由で増殖すると皮膚の赤み、フケ、脱毛、かゆみなどの症状を引き起こします。
▼寄生虫への感染
◎ノミアレルギー性皮膚炎
犬の身体にノミが寄生すると、ノミの唾液に含まれるタンパク質に反応して皮膚炎が引き起こされることがあります。これをノミアレルギー性皮膚炎といいます。
激しいかゆみと炎症反応、脱毛などが主な症状で、皮膚の赤みも認められます。ワンちゃんはかゆみに苦しめられ、患部を噛む、舐める、毛をむしるなど行動が見られます。
ノミアレルギー性皮膚炎では、炎症反応が急速に進行することがあるため、十分な注意が必要です。
▼犬アトピー性皮膚炎
犬アトピー性皮膚炎は、環境中に存在するさまざまなアレルゲンに反応して、皮膚の炎症が生じる病気です。
アレルゲンとしては、室内に生息しているノミやダニに加え、花粉やハウスダストなども含まれます。アレルギー性疾患であり、他の犬にうつることはありません。
▼犬の皮膚病の誘因は？
このように、犬の皮膚が赤いときは基本的に皮膚病が疑われます。そんな皮膚病を誘発する因子としては、次のものが挙げられます。
◎皮膚の乾燥
ワンちゃんの皮膚が乾燥すると、バリア機能が低下して皮膚病のリスクが高まります。
普段からワンちゃんの乾燥が気になる場合は、保湿力の高いシャンプーや入浴剤を使って、皮膚の水分を保ちやすい状態を作ってあげましょう。
◎ストレス
ワンちゃんはストレスを受けやすい動物であり、お留守番や運動ができない時間などが続くと行動に異常が現れます。
身体を舐める、噛む、引っ掻くといった行動が過剰となって皮膚病を誘発することもありますので、飼い主さんはワンちゃんのストレスを上手くコントロールしてあげてください。
◎栄養バランスの乱れ
食事によって摂取する栄養素が偏ると、皮膚のバリア機能も低下しがちです。普段から栄養バランスの良いフードを与え、必要に応じてサプリメントを活用するのも良いです。
◎不衛生な環境
生活環境にノミやダニ、ハウスダストなどが蔓延していると、種々の皮膚病のリスクが上昇します。
掃除を徹底してハウスダストを減らすことはもちろん、ワンちゃんの身体に寄生したノミやダニも薬用シャンプーなどで定期的に落としてあげることが大切です。
▼こんな症状が見られたら動物病院へ
次に挙げるような症状がワンちゃんに見られたら、動物病院を受診することが勧められます。
・皮膚の赤みが強く、治まる気配がない
・皮膚に発疹が認められる
・異常な脱毛が見られる
・フケがたくさん出ている
犬の皮膚病は、飼い主さんの観察と早めの対応がとても重要となりますので、何か気になることが出てきたら、いつでも当院までご相談ください。犬の皮膚病に関する疑問・質問にもわかりやすくお答えします。
